アンダを目指す

 アンダは、ボホール島で一番セブから遠い地域だ。セブから見れば、ボホールの奥座敷。タグビラランの港から、海岸沿いをずーっとバイクで走って行く。

 早朝、セブのピアー1(港1)から出航、2時間ほどでボホールのタグビラランに到着。さっそくレンタバイクを借りる。レンタバイクは1日350ペソだが、3日借りたら1000ペソにしてくれた。フィリピンのレンタバイクは基本最初はガソリンが空だ。なのでまずガソリンスタンドに直行する。ガソリン満タン、いざ出発!

 フィリピンには至る所に教会があり、早朝から人々がミサへ通う。スペイン統治時代のものも多く、歴史を感じさせるたたずまいだ。

 さて、まずは腹ごしらえ。このタグビラランには、私が大好きなチーズパイがある。このチーズパイのパン屋はセブにはなく、今の所ここタグビラランでしか見たことがないため、ボホールに来ると必ず立ち寄る。いつもと同じくチーズパイとカプチーノをいただく。周りの生地がさくさくで実にうまい。ついつい長居してしまいがちだが、アンダは遠い。先を急がねば。

サンニコラス教会に立ち寄る

 アンダへの道は気持ちいい。右にいつも真っ青な海があり、その美しさに度々バイクをとめて写真を撮る。ボホールは本当に海もよし、山もよしの素晴らしい島だ。ボホールはいつもうらぎらない。だから何度も来たくなる。

 アンダを目指す途中、大きな古い教会を発見。先述したように、この手の教会はフィリピンでは珍しくないのだが、観光客っぽい団体が数多く訪れている様子から、有名な教会だろうと推察。立ち寄ってみる。

 名前は『サンニコラス教会』か。いつものごとくグーグル先生に詳細をたずねる(笑)
「19世紀後半建立の歴史的なカトリック教会で、フィリピン国家文化財にも指定されており、南部の海賊からの襲撃に備えた防壁や、双子の鐘楼が特徴的な美しいネオ・バロック様式の建築が有名」
とのこと。中にも入れるようだ。

 中に入ると少し空気が張り詰める。地元の人々が純粋な祈りを捧げているからだ。興味本位の外国人が、旅のついでに見学してよい場所かと一瞬躊躇する。私は地元の人々と同じものを信じているわけではないし、彼らの信じているものを身近に感じたこともない。だが、少し視点はずれているかもしれないが、人々が信じる気持ちを偶像化したものには魂が宿る気がする。だからここを「神聖な場所」だと肌で感じ、無意識に気持ちが萎縮するのだろう。なるほど、美しい。この場に腰を下ろしていると、その静けさと、外から舞い込んだ鳥の鳴き声に心がだんだん溶けていく。外の日差しにほてった体がスンと冷やされる。

 先を急ぐため、教会の居心地の良さに別れを告げ、アンダへの道をひた走る。左にはココナッツの木が立ち並ぶ山、右には青い海、ドライブには最高の道だ。
 途中、カレンデリアで足を止め、昼食をいただく。私の好きなナスのサラダがある。お腹も満たしたところで、またひた走る。

アンダに到着

 タグビラランから寄り道をしながら走ること4時間、ついにアンダに到着した。早速ホテルを目指す。私のホテル選びの基準は、バルコニーがあること、そして海が目の前にあることだ。
 ホテルに到着し、部屋に案内される。ホテルにはコテージが立ち並び、とてもきれいに整備されている。ここの売りの一つはインフィニティープール。青い海とプールの境界線を見失うような造りになっており、温泉のようにずっと浸かっていたくなる。フィリピン人の不思議な生態のひとつ,目前に美しい海があるのに、なぜかプールを好む(笑) なかなか理解しがたいことではあるが、こんなプールなら私も入りたくなる。

 プールもいいが、このホテルは目の前が海で、プライベートビーチもあり、やはりまずは海に赴くべきだろうと歩を進めていく。やがて、浅瀬の薄い青と底知れない濃紺のグラデーションが見えてきた。あぁ、相変わらずきれいな海だ。

 私の日本の地元の海は残念ながら青とは言い難い濁った色をしている。いや、もっとここから近くのセブ市内にある川はゴミにあふれ、汚水が垂れ流されているため底が見えない。こんなに美しい自然がありながら、それを守っていく道徳観がまだ人々に根付いていないのだ。いや、自然は道徳観で守るものでもないか。親のありがたみに気づくには人間として成熟するに足る年月が必要なのと同じで、国や人々にも成熟するための時間が必要なのだろう。とにもかくにも、フィリピンの美しい海に出会う度に、近くで自由奔放に汚染されている水が、どこで浄化されてここにたどり着いているのだろうと不思議に思う。

南十字星

 夜になり、人気のないビーチに下りてみる。すると、360度開けた夜空。水平線の近くには美しい十字が輝いている。南十字星が見えた!スマホで写真を撮ってはみたものの、この感動を伝えるには画像があまりに不鮮明だろう。だが、それでも、少しでもこの感動を共有したい。写真左側の2つの明るい星が、南十字星を探す目印だ。そして、写真右側にうっすらではあるが確認していただければ幸い、これが南十字星だ。南十字星はセブでも見える時期が限られている。夜早く8時ごろ、もしくは早朝に夜空の下を這うように移動し、暗闇か朝日に消えてしまうのだ。

 フィリピン人にも何度か南十字星の話題をふってみたことがあるが、今まで星をめでる文化を共有できたことがない(笑) 日本では見えない星があるのだと熱く語っても、残念ながら同じ熱量は返ってこない…。こんなにきれいなのになぁ…。

早朝のホワイトビーチへ

 日課の朝散歩は旅行中でも欠かさない。むしろ、旅先の山並みやビーチ、知らない街を見ながらの朝散歩は、観光地であったとしても人が少なくその土地本来の魅力を堪能できる。

 日の出前に起床し、レンタバイクで走ること10分ほどで、『ホワイトビーチ』に到着。ここは、フィリピン屈指のリゾート『ボラカイ島』にも引けをとらない美しいビーチが散歩には十分すぎるほど長く続いている。のんびり歩くと片道1時間くらいはかかるのではないだろうか。真っ白な砂浜、ピンクと水色が入り混じった薄ぼやけの空と、それに溶け合うように静かにたたずむ水色の海。セブへ来て、朝焼けの美しさに何度も感動させられた。燃えるように赤い空、太陽の光線がビームのように伸びる空、蛍光オレンジに輝く雲。だが、こんな淡い朝焼けは初めてだ。淡く優しい空。海と空が交じり合う、なんて優しい朝なんだろう。

ボホール島へ!Part3:アリシアパノラマパーク編へ続く・・・